関連記事の3本ではあえて製作工程(綺麗に作るためのコツ)を割愛しましたが、この記事では「なぜ光るのか?」「なぜ丸くなるのか?」と根本的な事からおさらいし、小学校高学年ぐらいのお子さんでも理解しやすいようにかみ砕いて説明をします。
これから「アルミ玉」を作ろうと考えている方には熟読して欲しい内容ですが、理屈がわかれば正しい作り方や妥協するポイントもおのずと理解できます。
- アルミニウムはなぜ光るのか?
『なぜ?』になると話が逸れますが、磨くことで光る金属があり身近な物では「ステンレス」「アルミニウム」「金」「銀」「銅」などがあります。
「鉄」でも限りなく不純物を取り除いた日本刀の材料になる「玉鋼(たまはがね)」は光らせる事ができます。
鏡のように顔が映るほど磨いたものが「鏡面(きょうめん)仕上げ/加工」と呼ばれ、主に工業製品に使われる言葉になります。
- 鏡面(きょうめん)仕上げ/加工とは?
一見するとツルツルの表面でも実は目に見えない大小さまざまな小傷があります。
この傷を消すために「大きな傷を小さな傷で消していく作業」を複数回行い、極限まで小傷を消すと顔が映り込むほどのフラットな面が出来上がり、これが鏡面(きょうめん)仕上げ/加工になります。
- アルミホイルはアルミニウム100%
アルミニウムのロール状の平板(原板)を何度もローラーで引き延ばし、厚みを約10μm(マイクロメートル)まで薄くしたものが「アルミホイル」です。(※ 10μm=100分の1mm)
- アルミ玉とは?
アルミニウムを薄く引き伸ばし作られた「アルミホイル」を丸め、叩き、磨いて光らせた物になります。
- なぜ固まるのか?
アルミホイル自体はとても薄いのですが、これをいっぱい巻き付け圧縮する事でアルミホイルの層が複雑に入り組みガチっと固くなり、素手ではほどけないぐらいの強度がでます。
- なぜ丸くなるのか?
これは「アルミホイル」という製品があったことに加え、金属の中でも比較的柔らかい「アルミニウム」だからできることです。
非常に固い「ステンレス」やさらに固い「チタン/チタニウム」の金属は金づち1本でここまで丸くすることはできません。
簡単に書きましたが、話題のアルミ玉が作れる原理としては「柔らかいアルミホイル」という製品があったからこそになります。
続いて「綺麗に作るコツ/ポイント」になりますが、項目が複数あるので順番に書いていきます。
大きく分けると3つになり
1.ふわっと巻き付ける
2.しっかり叩く
3.しっかり磨く
実はそこまで難しくないので順番に説明します。
1.ふわっと巻き付ける
アルミ玉を作る際にインターネットで検索をしたと思いますが、上位の方によく出てくる「最終部分の折り返し」という項目について!
最後の部分がペロっとめくれ上がるコレの事ですね!
この現象が起こる原因は「綺麗に巻きすぎ」であり、押し固める際に各層が複雑に入り組んでいないので最後の部分が剥離(はくり)します。
対策としては「ふわっと」巻き付けることで回避できます。
これを指で丸く押さえていくと
表面がボコボコになって各層がしっかり絡み合い、これで後から剥離する事はありません。
2.しっかり叩く!
できるだけ丸く綺麗に作るための最重要項目です。
インターネットで検索すると「ゴムハンマー」がよく登場しますが、ぶっちゃけ不要で買わなくてけっこうです!
ゴムハンマーでの圧縮は「指による圧縮/指圧」で代用でき、必要な物は普通の金づち1本です。
今回は使い慣れた「樹脂の柄」の金づちを使っています。
若干「しなり」があり手が疲れにくいのでオススメですが、100均でも金づちが売っているのでそれでも十分ですね。
- できるだけ「真円」にするコツ
いきなり強く叩くとただただ一部が凹んで後から修正が出来なくなります。
ポイントは優しく丁寧に段階的に強めていくことです。
画の方が説明しやすいので
これが「指で形成」した状態のアルミ玉です。
内部には隙間が多く空気が入っている状態と考えて下さい。
金づちで叩き圧縮する事で内部の空気を抜きますが、叩いた反対側(地面側)にもトルクがかかるのでいきなり強く叩くと形状が「ジャガイモ」になります。
綺麗な真円にする為には
こういう感じをイメージすればわかりやすいと思いますが、焦らず少しづつストロークを増やしていきます。
ポイントはしっかり均一に叩くことですね!
もっとわかりやすく説明すると
ゴルフボールです。
表面はボコボコしてますよね?
始めはこれをイメージして等間隔に強く叩きはじめ、均一に全体を叩き終わったら高い部分を低い部分まで同じトルクで叩きます。
これを強さをかえながら丁寧に何度も繰り返していくとだいたい面が出てきます。
この一連の流れを断面で説明すると
これが「ふわっ」とアルミホイルを巻き付けた状態だと考えて下さい。
軽く巻き付けただけなので内部に隙間が多く、柔らかい状態なのでいくらでも形状の修正ができる状態です。
大きく張り出し部分を指で押す事である程度の形状にします。
高い面を金づちでしっかり叩き、高さを合わせていくと必然的に球体になります。
アルミ玉を綺麗な真円にするための理屈はコレになります。
た だ し!
これはあくまでも断面の説明になるので
画を描くだけでも面倒くさいんだけど、表面全面を隙間なく均一に叩く必要があり、アルミ玉を作る上で一番メンドクサイ作業で仕上がりに直結します。
基本的にDIYは地味な作業の連続ですが、アルミ玉は特にその傾向が強いですね!
アルミ玉を初めて見た時に『これ…メンドクサイ…時間かかる…やつですやん…』と悟れた貴方はDIYのセンスがあると言えます!
だからね
アルミ玉は「作くれる人」と「途中で諦める人」に分かれるDIYになります。
向いてない人はアルミホイルがもったいないので絶対にやらない方が良いですね!
・しっかり叩く理由
インターネット上では「あまり叩かない」みたいな記事もありましたが間違いです。
綺麗なアルミ玉を作るためには「いかに圧縮できるか?」も需要な項目になります。
これは最後の研磨にもつながる話ですがしっかり叩き内部の隙間をできるだけ減らさないと絶対に鏡面にはなりません!
最初の3部で「1次圧縮」や「2次圧縮」という言葉を使っていましたが、あれは途中途中で隙間を減らす為の工程になります。(※詳しくは最後の【3.しっかり磨く】で説明)
・どこで叩くのが理想か?
初めは絨毯の上などの室内で軽く叩きます。
これである程度固まってきたら
フローリング(木)の上ぐらいかな?
ここではフローリングが凹むほど叩かず、絨毯の時よりも1回り小さく圧縮できる程度を目標にします。
玄関に石を貼ってたら石でも大丈夫です。
最後は
厚めの鉄板が理想です。
家の周りではこの下水用?しかなく、溝も掘っているのでこれぐらいの大きさなら問題ありませんが、さらに大きくなると溝のラインがアルミ玉に食い込む可能性が出てくるのでオススメではありません!
現実的には道路のアスファルトではないコンクリート部分しかありませんが、そのまま打ち込むともれなく小傷が入るので
このような「少し厚いテーブルクロス」みたいな物を下敷きにすれば小石等の干渉物が食い込むこともなく「えくぼ」ができることはありません。
絶対に伝わらないと思いますが…最終の仕上げは「五寸釘を打ち込むぐらい」のトルクで打ち込んでいます!
デスクワークの人なら3分で腕がパンパンになるぐらいかな?
ここまで叩くと金づちでの面出しは完了です。
3.しっかり磨く!
アルミ玉を完成させる最後の工程になります。
どれくらいの工程を挟もうが、表面はボコボコ状態なので耐水ペーパーを使用し形状を整えていきます。
今や100均でも売っていますが選べるほど番手が揃ってないので
ホームセンターでは1枚100円ぐらいなので一通り買っておくことをオススメします。
- サンドペーパー(紙やすり)は使えるのか?
摩擦力が上がるので向いていません!
むしろ使わない方が良いですね!圧縮が足りていない場合は引っ掛かった部分からアルミホイルがめくれる可能性すらあります。てか、間違いなくめくれます!
大きな傷を消すためには耐水ペーパー♯120から始めると良いですが
これは錆落とし等の下地ごとガッツリ削る番手になるので、いくら摩擦力が落ちる耐水ペーパーでも力を入れてこすると事故の元です。
使いません!
大事なことは「圧縮」
今までに何度も「圧縮」という言葉を使ってきましたが、綺麗な鏡面にする為にはいかに強く叩けるか?に尽きます!
いくら人間の力で叩いたところで分子レベルの結合は起こりませんが、できるだけ圧縮しアルミホイルを固くする事で表面の密度を高めることができます。
むしろ!
金づちで叩くだけでは表面部分しか密度を高めることができません。
こういう感じですね!
内部の密度を高める為に途中途中で「圧縮」の工程を挟みましたが
どれだけ丁寧にやっても内部までしっかり圧縮ができないので、内部に行けば行くほど大きな「空気の層」があります。
つまり?
・金づちだけではえくぼを消せない!
ここが唯一妥協するポイントになります!
アルミの無垢材(ブロック)であれば磨けば磨くほど小傷が消えていきますが、アルミ玉は磨けば磨くほどどんどん大きな「えくぼ」が出てくる可能性が高いと言えます!
そういう意味では…
金づちで叩いたこの状態が「アルミ玉の完成形」と言っても過言ではありません!
これ以上磨くと圧縮が足りてない層に到達するので、削れば削るほど汚くなっていく可能性が高いと言えます!
・液体コンパウンドについて
今回使用したのは
ダイソーのシンク磨き/100円
これは耐水ペーパー♯2000とピカールの中間ぐらいなので使った方がピカールの総使用量を減らせます。
あとは半固形の「ピカールケアー」ですね!
液だれせず使いやすいので、もうこれだけで十分だと思います。
コンパウンドにも番手があり、最大で30000ぐらいがあった記憶です。
価格も比例して高くなるのであまりオススメではありません!
少し長くなりましたが、しっかり理屈を考えれば誰にでも簡単にアルミ玉は作れます!(※時間は相応にかかるよ!)
ちょうど夏休みなので自由研究とかに使えそうだし、当ブログの内容を完コピして提出したら絶対に先生は『よく調べましたね!』って褒めてくれるよw
バレても責任は取れないのであしからず!!!
意外と考えさせられるのでDIY好きの方は一度はチャレンジして下さいね!
終わり。