この記事は今後書いていく「ザリガニの多頭飼育」の心構えと言うか、数ある構成要件を1個づつ潰していく為の前記事の第1回目になります。
本当は1本にまとめようと思いましたが、異常に長くなるので小分けにして記事を分割します。
では【本編】 ↓
ザリガニを家庭の小さな水槽で飼育する上で、まず大きく分かれるのが1つの水槽に1匹の「単独飼育」か、1つの水槽に複数の生体を詰め込む「多頭飼育」かになります。
(※セパレーター(仕切り板)は除外)
「単独飼育」「多頭飼育」共にそれぞれメリットとデメリット(※別記事で詳しく。)があるのでご自身の飼育スタイルによって本来は「どちらを採用するか?」と選択をするべきですが、現状は「単独飼育」を採用する人が多いですね!
理由は簡単で、現在「多頭飼育」はするべきではないと考えられています。
はたしてそうなのか?
疑問に感じませんかね?
そもそも「自然環境下」では多頭飼育状態なんだけどね?
『本来は過剰な設備が無くてもザリガニは簡単に飼える生き物です。』と事あるごとに当ブログでは説明をしてきましたが、これはあくまでも「生命維持の観点」からの話で、突き詰めていけば実はめちゃくちゃ面倒くさい(難しい)とも言えますね!
アメリカザリガニの本場は「北アメリカ大陸のミシシッピ川」です。これに限らず南アメリカ大陸のアマゾン川、アフリカ大陸のナイル川、ユーラシア大陸の長江と大陸の川(本流)は基本的に流れが遅く淀んでいます。インドネシア-チタルム川、インド-ガンジス川は論外ね!
とにかく、地質も違うしこんな環境を家庭で真似(再現)できる訳が無いんですね!
ただね
「飼育水作り」は参考になる物が多いし、水槽を10個ぐらい用意して【ph】【硬度】【バクテリア/有機物】【水温】これらを総当たりで試していけばおのずと「答え」が出るというか、時間がかかっても必ずどこかで落ち着くと思います。
問題は…「飼育水槽」…
2006年2月施行の改正外来法で一部のザリガニが「特定」に指定されたことにより多数の引退者が出たとどこかで見ましたが、少なくとも15年ぐらいはそれなりにザリガニが一般家庭で飼育されていたわけですよね?(※日本において)
でも…
昔から飼育環境は大きく変わってないんじゃないかな?
初めてザリガニを飼う人はインターネットで色々と調べると思います。
決まって出てくるのが(※規格30㎝水槽 or プラスチックケースの場合)
1.砂利を敷きましょう。
2.水をいっぱい入れましょう。
3.ザリガニが溺れる(謎理論)のでエアレーションをしましょう。
4.隠れ家を用意しましょう。
5.アナカリスもできれば。
6.最後に脱走しなように蓋をして隙間も埋めましょう。
こんな感じかな?
あの~……… ツッコミ所が満載なんだけど、とりあえずこんな劣悪な環境では「多頭飼育」など不可能で「単独飼育」ですら怪しいです。
後から何を言われるかわからないのであまり声を大にして言いたくないんだけど、明らかに間違った飼育環境ですね!
そして、残念ながら今でもこれがスタンダードな「単独飼育」の方法になります。
僕も一度試しましたが、上記の飼育水槽を規格30㎝水槽だと仮定すると
これぐらいの容器で飼育するのとさほど大差がありません。
要は「本来の自然環境下」から思いっきり乖離してるという事で、そりゃ脱走ぐらいしますわw
でもね、これがスタンダードなんですよ。
・隠れ家は必要なのか?
本気で考えた事がある人はどれぐらいいるかな?
何の疑いもなく導入してる人が大半だと思います。
ただし、上で紹介した「劣悪な環境」では入れた方が良いというか…入れておかないとストレスになる事が予想できます。
・あまり動かない生き物?
ザリガニは川底にいる生き物で、基本的には隠れ家(シェルター)によく隠れているイメージ(固定概念)を持っている方が多いと思います。
決してそんな事は無いですね!
不完全な小さな水槽で飼育をするからそのような行動をとることが多いだけで、そこに隠れていたい訳ではなく怖くて出てこれないんじゃないかな?
ザリガニは凶暴な一面がありますが臆病な側面もあり、一瞬にして「警戒モード」に入る場合なんかもありますよね!
・自然環境下では隠れないのか?
隠れてますね(笑)
ザリガニが隠れる場合を確認すると
・お腹がいっぱい
・眠い時
・周りに大きなザリガニがいる時
・周りに外敵がいる時
・抱卵中(※未確認)
ざっとこんな感じでしたね!
そう都合よくすっぽり入れる穴が少ないので、自然環境下の「隠れる」は
「身を隠す」程度が大半になります。
つまり?
水槽で飼育する場合は別に「隠れ家 / 穴」を設けなくても、勝手に砂利を掘って「身を隠す」ことができます。
正しい飼育環境(水槽内の構成)であればこれで十分なんですね!
・では不要なのか?
抱卵したメスや脱皮したての生体にはあった方が良い(※事故防止)と思いますが、あくまでも飼育上の「一手段」ぐらいの軽い考えが理想的ですね!
ザリガニにもそれぞれ性格があると思うので、決して「入れて終わり。」ではなく「入りたかったら勝手に入れ。」と選択肢を与えることが大事です。
ザリガニが安心できる環境を作ってやれば隠れ家を設けても入らない個体は入らないですね。
・ザリガニはハンター
「蟻地獄」と違って自然環境下のザリガニは自らエサを求めて動き回ります。かなりアクティブですね!
原則的に早くて数時間、遅くても十数時間と同じ場所にいないです。これは飼育下の「縄張り意識」を考える上でも重要ですが、結局「そこが安全」とザリガニが感じるので集まり早い者勝ち状態になるので、人から見るとソレが「縄張り」に見えるだけだと思います。
自然環境下においてザリガニが自由に動けるフィールドがあるという前提で考えれば、原則的に【縄張り】は無いと判断できるので「多頭飼育」で【縄張り】ができるようであれば「水槽の大きさ」か「生体数」もしくは「両方」それか「水槽内の構成」に問題があると考えられます。
・多頭飼育の一番の弊害
先にこれだけは書いておきますが、多頭飼育をする上で一番の弊害というか懸念が「生体が傷つく可能性がある」になります。
ズバリこれですね。
特に色味が良い高価な生体を飼育している場合は「損傷 / 欠損」に敏感になると思います。
場合によっては『多頭飼育なんてありえない!』と思われる方々もおられるでしょう。
そうですね。確かにそうですね。ザリガニを「物」として考えるならね!
水生生物に限らず生き物を家庭の狭い閉鎖的な環境で飼育するという事は、そもそも論で切り捨てると「人間様のエゴ」以外の何物でもありません。
まして外来種ですからね!
であれば?
本来はできるだけ自然環境下に近づけてあげる事がベストな飼育方法だと思うんですよ。僕はね!
長くなったのでここで1度切ります。
続く。