それでは【第1回 多頭飼育論】内で軽く触れた【隠れ家】を掘り下げて考えていきます。
・ザリガニは良く隠れる
ザリガニの飼育者は皆同じ認識であり間違ってはいないと思います。
流石にこれには異論がありませんよね?
・なぜ隠れるのか?
しっかり考えたことがありますかね?
・外敵天敵がいるから?
・抱卵してるから?
・脱皮をして直ぐだから?
・眠いから?
・お腹がいっぱいだから?
他にも理由がありそうですが、とりあえず全て「正解」じゃないですかね?
これらを踏まえると水槽の中に「隠れ家」を入れた方がザリガニにとって良いと判断ができます。
でも…これが…難しいよね?
一番お手軽な物では塩ビパイプの「チーズ(T型)」になるのかな?
使ってる人が多いよね?
これに限らず何かしら隠れる場所を提供しますよね?
でも…
多くの人が「穴」を使いますよね?
なんで???
ザリガニは「ゴキブリ」とは違って、「常に体の一部が隠れ家(空間)のどこかに触れていないと落ち着かない(=安心できない)」という習性(行動)は現状見当たりません。
でも…「穴」…
これねぇ、たぶん「前提」によるものだと思います。
アメリカザリガニも穴を掘ります。
「横穴」という言葉を一度くらいは聞いたことがあると思いますが、自ら大きなハサミを使って掘って掘って掘って隠れれる穴を作ります。
そのような「横穴」に隠れてるアメリカザリガニを見たことがある人が【ザリガニ→よく隠れる→横穴→穴→チーズで良くね?】みたいに説いたんだろうと思います。
そして、横穴を掘る場合は柔らかい土面に限定されます。
そう「前提」ですよね!
これは【第4回 多頭飼育論】で書こうと思ってた内容になりますが、「前提」が異なればザリガニの「行動パターン」もおのずと異なります!
軽く触れると、横穴を形成する多くの場合が「池」や「沼」になり、田んぼに水を引き込む為の「農業用水路」でも横穴を作る場合があります。
これらに「共通する環境」とは?
多くの人が完全にスルーをしてると言うか全く気付いていないと思いますが、漠然と「自然下」と言っても大きく分けて「川」と「その他」の2つに分類されます。
アメリカザリガニが生まれた環境は「北アメリカ大陸のミシシッピ川」になり「川」なんですよね!
そう「川」なんですよ!
もちろん川に生息するアメリカザリガニも「横穴」ぐらいは掘りますが、注目すべき点はその「頻度」になります。
と言うか…
川は川でも形状が多種多様なので『これが川だ!』と一括りで言えないので
僕はアメリカザリガニの「好きそうな川」はこんな感じだと思ってます。
結局ね、アメリカザリガニは生息可能条件が緩いから「どれが理想なのか?」が見つけにくいですが、故に「飼育しやすい」とも取れます。
とにかくね!
こういう環境であれば「横穴」を掘るよりも岩の下に隠れていることが大半になります。
と言うよりは、僕は「川」に生息するアメリカザリガニの行動パターンしか知らないので「その他」の行動パターンを知りません!
つまり?
比較なんてできません!
と言うのも…
日本全国の「池」ってこんな感じが多いですよね?これでは「行動パターン」なんて調べれないですよ。
だって見えないもん!
せいぜい「水質」「環境」「生体数」「生体の状態」ぐらいになるんじゃないの?
そういうわけで!
僕のザリガニ飼育における記事の前提は「川に生息するアメリカザリガニの行動パターン」を参考にしています!
どちらが「水槽作りのものさしとして使うのに理想なのか?」って話ですね!
ちょっと長くなりましたが、ここからがタイトルの本題になりますw
・周りに天敵がいる前提
これはかなり重要になってきますが、自然界にはアメリカザリガニにとっての「外敵」や「天敵」がいます。
やはりこれを「前提」にしない事には始まらないと思います。
・「天敵」とは?
僕が行くホームではウシガエルに大きなドジョウです。
あとは…
「敵は水の中だけではない!」ということで「カラス」を含む野鳥。
一番の天敵は「人間」であり、特にちびっ子は無茶をする傾向ですよね(笑)
・天敵の登場によって?
日本全国には沢山の池がありますが、農業用水の確保を目的として人工的に作られたものが大半になります。
例えば「タンカイザリガニ」が生息する淡海湖は、標高が高い場所に位置してましたが「農業用水の安定的な確保」を目的に作られた人工のため池になります。
要は農業が盛んな地域には池が多く、漁業が盛んな地域は池が少ない傾向になりますが、大阪市を含む大都市では都市計画の一環としてコンクリートに覆われた物が大半になります。
このような都市部の池では「逃げる事も隠れる事も」できないので、ライギョやオオクチバスの登場によってアメリカザリガニが絶滅に追いやられたケースが多いと思われます。
逆に駆除をしたことによって「アメリカザリガニが増えた」事例もあるそうですね。
・天敵に見つかると?
これがかなり重要です!
まず逃げます!
隠れません。逃げます!
そう
問答無用で逃げますw
これがアメリカザリガニの「行動パターン」になります。
・そう言えば…
サバンナの草食動物なども人間が近づくと必ず逃げますよね?むしろ、人間を見ても逃げない場合は一撃必殺を持ってるかなりアブナイ奴か子育て中とかでしょ。
『逃げるが勝ち』のことわざもありますが、野生の生き物は基本的に無駄な争いを避けます。(※人間は無駄な争いが好き♥)
・穴に隠れるデメリット
自然界にある穴は基本的に「袋小路」です。穴の前に天敵が居座ると身動きが取れなくなります。
そして、ザリガニが入れる大きさの穴であれば天敵も入ることができる可能性があります。
これはTL5㎝のアメリカザリガニと20㎝超のドジョウです。
ここまで育てば基本的に襲われないと思いますが、穴には楽勝で入ってこれますよね!
・でも穴に隠れる…
やっぱり「前提」でしょうね。
先ほどの「池&沼&用水路」の共通点がわかりましたか?
ズバリ!底の状態になります!
天然の川はその辺り一帯の一番標高が低い場所に水が流れます。時には山肌が崩れ、時には大雨で濁流が押し寄せ、常に上流から大小さまざまな石が転がってきて川底に溜まっていきます。
故にわざわざ横穴を掘らなくても隠れる場所が多いですね!
一方の「池&沼&用水路」は人工物が多く、「水を溜めたり水を流したり」が本来の役目になるので障害物などむしろ不要で底面をフラットにすることが多くなります。(※堆積したヘドロは除外)
故に隠れる場所が極端に少なくなります。
そりゃ穴を掘って隠れますよ!
僕が常に意識してるのはコレなんですね。要は「川」か「その他」のどちらを前提として「水槽を作るべきか?」って話です。
簡単に言えば「その他」を前提にするならば「穴が必要」になるし、「川」を前提にすると「穴は要らない」になります。
でね
あった方が良いのは良いですよ!
『どっちやねん』と突っ込まれそうですが、「穴ありき」ではないということです。
もうね、コレについては言葉での説明に限界がありますね(笑)
そういうわけで、ここからは画像を使って説明をしますね!
我が家の30㎝オーバーフロー水槽で確認をしています。いわゆる「劣悪な環境」になり再現しましたよ(笑)
水槽内の構成は「隠れ家」が1個だけです。
入ってるのが確認できますね!
周りに身を隠せる場所が無いので嫌々入ってますね。
ちょうど朝方になりますが、このザリガニはこの場所が一番安全と感じたんでしょうね!
「その他」のマンマです。
多頭飼育水槽から撮影の為に移した生体なのでとにかく暇そうです。
なんて言うか…
ザリガニの良い所を全部潰した最悪な環境ですね!
これではザリガニ本人も見てるこちら側も全く楽しくありません。
で!
これが現在の単独飼育の大半を占める「その他環境」を前提とし広く認知された飼育方法になります。
僕は「川」の前提なんですよ!
・川の隠れ家とは?
穴に入るよりも
「身を隠す」ことが多いですね!
・なぜ身を隠すのか?
アメリカザリガニはとても臆病なので、すぐに逃げれる状態を維持してることが多いです
・どちらが優先?
自然環境下でも川に生息するアメリカザリガニの行動パターンを確認すると「逃げる>>>>隠れる>>>>>>>>>戦う」になります。
生息地の環境によって「>」の数が変わりますが概ねこの傾向ですね!
・戦わないのか?
基本的に戦いません。
もし『アメリカザリガニは凶暴だ!』なんて言ってる飼育者がいれば「色」しか見てないんでしょうね。
ちなみに!
自然環境下において戦う場合は、ザリガニ釣り等で陸上に上げた時や
水中でも逃げれないように追い詰めると「窮鼠猫を嚙む」状態になり、死を覚悟して?最後の抵抗をする時ぐらいじゃないかな?
狭いエリアで過密状態が続くとザリガニ同士の小競り合いはあるけど、『何でそんな過密状況になったんだ?』の方が問題なので除外です。
・逃げやすい環境が重要
川に生息するアメリカザリガニの行動パターンを見る限りでは、水槽飼育下においても「逃げやすい環境」を作ってあげれば多頭飼育は難しくありません。
・例えば?
あくまでも一例になりますが
これでザリガニは身を隠せ「隠れている気分」になっています。
こっちからは丸見えだけどね(笑)
そして、逃げやすいですね!
・多頭飼育下でも重要
大小様々な生体を1つの水槽で飼育する場合でも「逃げやすい環境」にしてあげる事がベストで、ただやみくもに複雑にすれば良いというものではありません。
・川ザリガニの逃げ方とは?
これは相手との間合いにもよります。
近い場合は後方ジャンプで一気に距離を稼ぎますが、少し離れた安全な場合は「後退り→安全確認後Uターン→逆方向へ歩いて逃げる」になり
概ねこの傾向になります。
つまり?
『隠れ家を1個入れとけばいいんでしょ?』ではザリガニにとって安心できる環境とは到底言えません。
例えばダイソーでこんな容器が売っています。
側面に3ヵ所ほど出入り口を設けて天面にエアー抜き用の穴を開けます。
「チーズ」からこのような形状にするだけでも各ザリガニの「動き方」が格段に良くなります!
ちなみに!
以前に紹介した
「塩ビパイプの隠れ家」ですが
これが「完成形」になり、理屈は先ほどのボールと大差ありません。
けっこう長くなりましたが、なんとなく伝わりましたかね?
まだ補足が続くの【第1回分 補足(2-2)】でお会いしましょう!
続く。