【不全】
[名・形動]活動や機能が完全でないこと。また、 そのさま。不完全。「不全な機能」「発育不全」
ザリガニを飼育してる人が良く使う【脱皮不全】という言葉。その大半は生体の死に直結する事になり、SNS上でも度々目にするかと思います。
はたしてそうなのか?
あの~「エアレ不足」しかり、まともな飼育をしていない人の発言を真に受ける必要はないと考えています。僕はね!
・脱皮不全とは?
ザリガニが脱皮をする際に何かしらの原因で死んだら「脱皮不全」という言葉を使っていると思いますが、死んだ原因についてはそれぞれ理由があるハズだから本当はわかる範囲でも精査した上で飼育環境と共に情報を出すべきだと考えています。僕はね!
つまり?
現状の「脱皮不全」とは非常に広い意味で使われており、簡単に一言で済ませると「便利な言葉」であり、その多くが「生体ヘタレ説の俺悪くない説」ですよね?
【なんちゃらウォチタ】
以前30㎝OF水槽に隔離した負け組6匹のうちの1匹です。これはそこまで青くならなかった個体ですが、他の兄弟に比べ成長が遅く多頭飼育にて飼育を継続していました。
動きがおかしいなぁ…
足の付け根に何かモヤモヤした物が確認できます。
動けるのは動ける!
ここで判明!
脱皮殻が引っ付いてる!
脱皮の失敗ですね!
疑問:失敗する確率は?
難しいなぁw
例えば自然下では「脱皮の失敗」を見ることはできません。それこそ“落ちてる”状態になるのですぐに捕食者に食べられますからね!
このウォチタの環境が自然下だったと仮定すると
この20㎝超のドジョウであれば一飲みで終了です。天敵に限らず兄弟や同胞に見つかればもれなく“エサ”に成り果てますね!
それが自然界ですね!
特にザリガニみたいな下層の生き物は同胞たちを乗り越えて大きく成長していく側面があるので、分かり易く例えると「任侠の世界」正にコレです!
つまり?
正しい飼育環境を用意しているのであれば『可哀そう…助けなきゃ!』じゃなくて『はい、お疲れさん!』コレで十分です。
疑問:それなりに多い?
Procambarus系ザリガニは一度の抱卵数が多いですよね?たぶんだけど、一定数はこのような「脱皮の失敗」によって途中退場を余儀なく…じゃないかな?
た だ し !
基本的には脱皮の失敗はそう無いであろうと考えています。甲殻類は「脱皮」という手段を用いて体を大きくしていきますが、そもそも「脱皮」という行動自体に本質的な問題があるのなら進化の過程で採用してないだろうし
シュリンプぐらいの“薄皮で回数を多く”ぐらいに収めてくるハズなんですよね!
ただなぁ…
この“大きさ”だから脱皮殻が薄いとも言える側面がありますよね?
このクラスになると2~3年に1回しか脱皮をしないだろうし、それこそ脱皮殻も厚みがあるので「命がけ」と言っても過言ではありません。
アメリカザリガニだったらTL10㎝を越えた辺りからハサミが異常に大きくなるから場合によっては脱皮中の自切やそもそも脱皮の失敗等が“可能性”として出てきてもおかしく無い!…と考えることもできそうですが。
このサイズのザリガニは脱皮殻も薄く本来は失敗しにくいであろう…。と考える方がナチュラルですが、やっぱり生体の“話”になるとサンプル数が少なすぎて何とも言えませんね!
本来は兄弟たちの“糧”になるべく放置する所ですが、せっかくなので引き上げて確認したいと思います。
頭胸部は完全に脱げていますが、尻尾側が残っているので最後の「ドゥルン」に失敗したみたいですね!
まぁどっちでもいいんだけど
何本か足も抜けていない状態なので無理くりピンセットで外すとごっそりイキそうな予感がせんでもないですね(笑)
疑問:脱皮を手伝える?
無理です!
諦めて下さい!
中には『ピンセットでほじくれば~』みたいな事を言う人がいるかもしれませんが、たまたま偶然上手くできた結果を『こうやれば~』は流石に違うと思うんですけどね?
伝説の呂布…あれっ?
解説の掛布…あれっ?
風説の流布…これだw
【脱皮殻との比較】
ちょうど同じサイズの脱皮殻がありましたが、本来はこのように1枚物で綺麗に殻が脱げます。
【脱皮の姿勢】
通常はこの折れた角度で脱皮が始まり、頭胸部は頭が出たらへん(※大きなハサミは半分ほど残ってる状態)で尻尾はほぼ脱げた状態から最後はジャンプをするように「ドゥルン」で一気に脱ぎます。
こういう感じだよね?
初めてザリガニの脱皮を見た人は意味がわからないと思いますが、ザリガニは脱皮をするにあたり内部の新しい外骨格はめちゃくちゃ柔らかくなります。
つまり?
尻尾側が脱ぎきれずに残った脱皮の失敗です。
尻尾側の外骨格は完全に残った状態ですが問題はその色味ですね!頭胸部の新しい外骨格とさほど大差がないので…まだ内側の新しい外骨格と癒着している可能性が非常に高いと言えそうです。
つ ま り ?
生体が小さ過ぎるという理由もありますが、こんな状態で金属製のピンセットを使って古い外骨格を引き剥がすなど無謀もいい所です。
もしも『脱皮を手助けできる!』と言い切れるのであれば、ここまでをワンセットに説明しないと不親切ですよね?むしろ“想像”で語ってるかもね?
じゃあどうする?
とりあえず放置。
この時期は水温が高いのでそのままタッパーで隔離していると事故の元ですが、このように水槽に浮かべておけば水温の上昇は気にしなくても大丈夫です。
その日の晩。変化なし!
古い外骨格を強引に外したことでやっぱり足がもげたので起き上がれません。
ザリガニは足が欠損しても再生するし、このサイズであれば比較的早い段階で回復も見込めるので想定外と思わせて想定内です。
・つまりだな…
コレが3日後です!
3日もあれば新しい外骨格の固さ(強度)が戻ってきますよね?
尻尾側の古い外骨格も浮いてきます!この1枚は割と重要ですが、明らかに3日前に比べ色味の変化が見られます。
つまり死んだ細胞です!
「バーンスポット」の一番最初の記事らへんで『ザリガニの外骨格は「鎧」と考えれるが、“生きた”細胞であれば修復が可能だが“死んだ”細胞であれば不可』と書きましたが、結局よくわからないので僕の中では保留です。
この現状では完全に分離してるので“死んだ”細胞が確定!しますね!
取るなら今!!!
ようはね
脱皮殻の経年劣化を調べようと思ってたんですよね!外骨格はいろいろな物質の複合体ですが時間経過と共に劣化すればおのずと強度も低下します。
(なんでFBIみたいな事をやってるんやろか…)
ってことは?
ちょっと時間がかかると思いますが、そのまま放置しておけば脱皮殻の柔軟性が無くなるから確実に何処からか亀裂が入りポロっと取れる…ハズ。であれば、わざわざリスクを冒す必要などありませんよね?
様子見で良いんじゃない?
月日は流れ…
大きく成長したなぁ…
って?????
5日でここまで大きく…
こういう感じで水がタッパーに侵入して高さが水面とフラットになって大きな個体が入り込んだみたいです。
被検体は消えました…
いわゆる「共食い」という現象ですが、正しくはコレが「捕食」になります。
管理不足と思われそうですが
元々はこの状態だったから遅かれ早かれの結果で僕は特に何も感じません。1点言うならば、このような状態の生体を作り出す事は逆に難しいのでせっかくだし結果を知りたっかたなぁ…ぐらい?
尻尾の部分だから棒でつついて追い回したらビュンビュンと逃げて亀裂が入りやすいだろうから意外と早く脱皮殻が取れたかもしれないよね?
・暫定版の総括
ザリガニの脱皮の失敗はそれなりの確率で発生すると思いますが、大きく分けて2つに分類できると思います。
1.稚ザリの生理的失敗
2.成体の環境的失敗
今回のケースは【1.】に該当しますが、このような個体はどんどん淘汰するべきだと考えています。今回の脱皮で失敗しなくても次の脱皮で同じ事が起こる可能性が捨てきれないですよね?
やっぱりね、残念だけどこのような個体が少ないとはいえ一定数出ると考えていれば何も悩む必要はありません。
【2.】についてはマンマになりますが、飼育環境が劣悪過ぎてザリガニがどんどん弱っていき脱皮の際に力尽きただけじゃない?シランケド
エラが飛び出すパターンとかもあるよね?何がどうなったらあのようになるのか知りませんが、僕が作る環境下でもしもそのようなザリガニがいれば全部弾きますね。
要らないから!
自然界を意識して本当に強い個体(種親)を残そうと思うと『100匹から何匹残るの?』ってぐらい心を鬼にしないと…やり過ぎかな?(笑)
ハズレかもしれない個体なんてお金を出してまで欲しくないでしょ?
僕なら絶対いらない!
終わり。