先日九州地方を襲った【台風10号】。それなりの被害が確認されていますが、幸いなことに甚大な被害は発生しなかったと思います。【暴風】だけであれば建物の損壊は免れませんが、人命については守れる。と思います。
そう、ヤバいのは水害!
できれば小学生でも理解できる内容にしたいのでザックリの内容に留め、説明が不十分な箇所があるかもしれませんのでご了承ください。
「水害」といっても実はそこそこ種類があり、まずは大きく「川」と「海」の2つに分かれます。海が無い県は「内陸県/ないりくけん」と呼ばれ栃木県、群馬県、埼玉県、長野県、山梨県、岐阜県、滋賀県、奈良県の8つで、もちろん「海系水害」は一切ありません。
そういうわけで、先に全国共通の「川系水害」から紹介したいと思います。
・川系の水害とは?
まずは大きく2つに分けて
・外水(がいすい)氾濫
・内水(ないすい)氾濫
どちらも大雨を起因とした災害になりますが、川の堤防が決壊や氾濫によって市街地に水があふれ出した場合が「外水氾濫」。
ゲリラ豪雨等によって排水が間に合わず市街地が冠水した場合が「内水氾濫」と覚えて下さい。
・ハザードマップとは?
これは大阪市(24区)の内水氾濫予測になりますが、基本的に水は重力に逆らわず低い方へ流れていくので海抜をベースに作られています。
別に大阪市に限らず、地名に「川」や「池」等の漢字が使われていたり、過去に大きな水害があった地域には何かしらの石碑や洪水痕跡が残っていることが多いので一度調べてみるといいかもしれませんね!
【大阪平野の成り立ち】
こういうことですね!
その細長い陸地が今の【上町台地】になり北端の高台にかつての【難波宮】や【大坂城】が作られました。
大阪平野はかつて海の下だったわけで全長8mのワニの化石なども発見されています。要は海抜の低い地域も残っているので…コレは後述します。
・土砂災害について
これも大雨を起因とし基本的に都市部では無縁ですが、地方部においては比較的厄介であり死亡例も非常に多い災害になります。
家の裏手が山や崖になっている場合は同じ警報級の雨量であってもリスクが異なるので『これはヤバい!』と感じ取れるかどうか、つまり危機管理が問われます。
・ダムについて
一言で「ダム」と言っても大きく「治水(ちすい)用」と「利水(りすい)用」に分かれます。
昨年2019年の[令和元年東日本台風(19号)]以降に運用の見直しが入ったそうですが「国交省」「農水省」「経産省」の3つの省に分かれていたお粗末さ。もちろん省庁は縦割りでございます。
せっかくだしお隣の“時限爆弾”についても少し補足しておきます。
【 長江:三峡ダム 】
「治水」と「利水」の両方を欲張った結果どっちつかずの非常に中途半端な仕様になり、上流域下流域共に災いをもたらすダムになりました。
コレが乾季における最大貯水時の175m(EL.)になります。このダムが完成したことで10,000t級のコンテナ船が運航できるようになり、上流の「一帯一路」の拠点である重慶市(人口3,000万人)の発展に貢献しました。
この赤〇で囲った部分がコンテナ船用のエレベーターです。パナマ運河とかと同じような物で水位を上下させるリフトみたいな物です。まぁいいや。
コレが8月22日頃で雨季の最高記録となる167.65mに達しましたが実は175mに達してそう。タプタプですやんか…。
水を流し過ぎると下流域に水害が発生し、溜めすぎると上流域で水害が発生します。
国内では報道されていませんが、重慶市ではここまで水位が上がり物凄い外水氾濫を引き起こしました。
同じスケールで東京都と比較し皇居と位置を合わせましたが、長江の本流にダムを作ったのでどこからどこまでをダムとするのかはわかりません。が、物凄くデカいんですよね。
日本国内では例年とは異なり7月8月に台風が発生しない異常気象になりましたが、本来は台風になるハズだった雨雲が中国に向かい長江流域で記録的な雨量になりました。
最大で1秒あたり7万5000㎥の流入となり東京ドームが約16秒で満水になる。昨年の台風で【八ッ場ダム】が少し話題になりましたが、貯水0の状態から25分ほどで満水になると言えば…逆にわかりにくいか。
高低差が少ない長江でここまでの雨量になると流しきれないので堤防を決壊させて安徽省を“遊水地”にしました。
結果として浄水場が水没しアメーバ赤痢が発生しましたが、本当に恐ろしいのが【日本住血吸虫】と言われています。
今の社会情勢を考えて『知るか!』って吐き捨てる人も多いと思いますが、いかに「水のエネルギー」が恐ろしいのか学べることもあることを忘れないで下さい。
「治水ダム」については特に大型台風の上陸前に異常洪水時防災操作(緊急放流)ができるようになったそうで、九州地方の複数のダムでは今回の台風10号接近前に水位を下げたそうです。
ここまでが「川」です。
・海系の水害とは?
「高波」「高潮」「津波」の3つになります。「高波」は字のごとく高い波がばっちゃーんと来る程度なので港内に停泊してる漁船等が怖いかな。ぐらい?
・水の“壁”が押し寄せる?
この2つはよく似てるし、だいたい同じ結果になる事が多いですね。
津波:地震由来
津波については海面が上昇し押し寄せるので「壁」になります。いうて「波」なので割と引きが早いのが特徴ですが、エネルギーが大きいので破壊力があることも特徴です。
台風によって海面が上昇し割と長時間になるので本質的には「高潮」の方が厄介ですが、津波ほどの破壊力はありません。
例えば「潮位が+2m」だと想像しにくいかもしれませんが、地盤が「2m下がった」の方がイメージしやすいかな?一緒かな?
高潮をシャットアウトするには河川の堤防と同じ理屈の「防潮堤」を設けるしかありません。
人の移動を伴う場合は「防潮扉」が必要になります。
この間隔が必要なのかはさておき
たぶん油圧式だろうし、しっかり密閉すると思うので浸水しない構造になります。
対岸にもオレンジ色の防潮扉が複数個が見えますよね。
これぐらい離れると低く見えるので後1~2m高くても良さそうですが…
撮影した場所が赤い部分です。
総延長が何㎞になるのか知りませんが、この「高潮対策」には物凄くお金がかかるんですよね。
あとは「水門」だよね。
アーチ形水門。
俗に「三大水門」と呼ばれていたこれらは老朽化に伴い360億円をかけ新設されますが、次は津波も想定して一般的な「ローラーゲート式」になるそうです。安いもんだよ!
とまぁ…
僕は大阪市民だから大阪市の「高潮対策」について書きましたが、地域によって想定される「水害」の種類や性質が異なるので一度しっかり調べて下さい。
これからの水害は今までと規模が異なる可能性も高いわけで、家を買うにしてもしっかり調べないと大変なことになるかもしれない。相場よりも安い場合は何かしらの理由があるからね!シランケド
おわり。